自転車の補助輪をはずすことは、誰もが『人生』の最初のハードルだと思う。
「お父さん!ゼッタイはなさないでよ!」あの時息子は、なかはおこった口調で僕に叫んでいた。「はなしてないゾ!」と言いながら、すでに僕の手は自転車の小さな荷台から離れていた。ギュッと握ったハンドル、彼は左右に揺れながら必死にペダルをこいでいる。___補助輪も僕の支えもいらなくなって、ちょっと寂しくもうれしい瞬間だった。
このお話の「じてんしゃくん」も、すぐに補助輪がいらなくなって、スイスイと森の小径を野原へと走りぬ
けるようになるだろう。
この物語りのもう一人の主人公が、まだへたくそなじてんしゃくんを支えている「ほじょりんくん」なのを忘れないでほしいな。
(石倉ヒロユキ後書きより)
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