じてんしゃくんの
ぼうけん

自転車の補助輪をはずすことは、誰もが『人生』の最初のハードルだと思う。
「お父さん!ゼッタイはなさないでよ!」あの時息子は、なかはおこった口調で僕に叫んでいた。「はなしてないゾ!」と言いながら、すでに僕の手は自転車の小さな荷台から離れていた。ギュッと握ったハンドル、彼は左右に揺れながら必死にペダルをこいでいる。___補助輪も僕の支えもいらなくなって、ちょっと寂しくもうれしい瞬間だった。
このお話の「じてんしゃくん」も、すぐに補助輪がいらなくなって、スイスイと森の小径を野原へと走りぬ けるようになるだろう。
この物語りのもう一人の主人公が、まだへたくそなじてんしゃくんを支えている「ほじょりんくん」なのを忘れないでほしいな。 (石倉ヒロユキ後書きより)

 

●文 真木文絵
●絵 
石倉ヒロユキ
チャイルドブック
●絵本40p
●価格¥350