|
アゲハの幼虫のガジガジくんが、夏ミカンの枝からポットくんの上にぼとんと落ちてきました。 驚いたポットくんが見上げると、ミカンの葉はほとんど食べつくされていました。 おなかがすいているにちがいないと、早とちりしたポットくんは、もっと食べさせてやりたいと思い、庭のやさしい仲間たちに、おいしいものを紹介してくれとたのみます。 ダンゴムシもミミズくんもアリさんも、みんなやさしくて協力します。 しかし、ガジガジくんは食べません。キッチンガーデンの野菜もだめでした。 みんなまずいと泣きだします。みんなは困ってしまいました。 とうとう、やさしいポットくんは自分の鉢に植えてあるパセリを一本だけならあげる、と決心しました。そのとき、あたりは急に静かになりました。 ガジガジくんは鉢の横でサナギになっていたのです。どうりで食べないはず。 これまでに充分食べていたのです。虫は自分に合った食物(食草)しか食べないのです。 アゲハの食草は柑橘類だったのです。 |
●文 真木文絵 |